「こんなに鮮やかなんですね」
ドライフラワーとスワッグの通販専門店『土と風の植物園』では、オンラインショップを訪れたお客さまから、こんな驚きの声をいただくことがあります。
「ドライフラワーってパサパサ」「枯れた花」
そんなイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
でも、土と風の植物園のドライフラワーは、そんなイメージを拭い去る、いきいきとした見た目のものばかり。
レッド、イエロー、ブルー、ホワイト、オレンジ、ヴァイオレット、グリーン、アースカラー。
わたしたちが日々ドライフラワーを生み出す小さなアトリエは、何百、何千という色彩で溢れています。
この読みものでは、奥深いドライフラワーの色の世界と、色彩豊かなドライフラワーを生み出すための秘密のこだわりについてお話しますね。
見る人を魅了するドライフラワーの色彩
そもそも、なぜ土と風の植物園では生花やプリザーブドフラワーではなく、ドライフラワーを作ってお届けしているのか。
一言でいうと、ドライフラワーの“変化”を楽しんでほしいからなんです。
自然の風に吹かれ、生花からドライフラワーへと姿を変える草花たち。
パサパサとした質感だったり、生花の時よりも控えめに漂う香りだったり。
五感で感じられる、お花たちの変化。
水分が抜けることであらわれるシワやヒダは、工芸品のように美しい。
中でも私たちの心を特に惹きつけてやまないのが、“色の変化”です。
1. “水分を抜く”ことによって生まれる新たな色の世界
ドライフラワーは、草花の水分を抜いて作ります。
その過程で、花色が少し薄くなって可愛らしい雰囲気になったり、生花の時のままの色合いが残ったり、生花の時よりも濃厚でこっくりとした色になったり。
例えば、芍薬。
ドライになると、生花の時よりも花びらや葉の色が濃厚に。
ごつごつとした茎と相まって、色気が漂います。
例えば、アリウム ギガンチューム。
明るいヴァイオレットとグリーンは、やわらかなミルクティーに。
こうした変化を「ただ枯れたのではないか?」という方もいらっしゃるのですが、私たちはドライフラワーのことを枯れた花だとは捉えていません。
一般的に「枯れる」という言葉は、草花が満開になった後に花や葉が散ったり変色して、命が終わるという意味。
でも実は、「円熟して、落ち着いた深みのある味わいが出てくる」という意味もあるのです。
水分を抜くことで、深みのある味わいが生まれる。
そして、草花が内に秘めていた新たな色の世界を楽しむことができる。
それがドライフラワーなのだと。
生花や、花の色素を抜き特殊な染料を吸わせて加工するプリザーブドフラワーにはない魅力だと捉えています。
ドライフラワーは着色していない自然由来のものだから、中には元々シックな色味のものも。
シックなものでも色鮮やかなものと組み合わせると、お部屋に飾ったときに明るくいきいきして見えますよね。
ドライフラワーの色の世界をお楽しみいただけるよう、デザインや使うお花の組み合わせを考えながら、スワッグやリースをお作りしています。
2. 経年変化の過程も楽しみの一部に
購入した時の見た目のままドライフラワーを楽しめる期間は、大体2か月から3か月程度といわれています。
保存環境やドライフラワーの種類にもよりますが、時間が経つとともに 花や葉の色が淡くなるなどの経年変化があらわれます。
読みもの「長持ちさせたい!ドライフラワーのお手入れ方法と保存期間」
土と風の植物園のドライフラワーは、色がしっかり残っているものが多い分、経年変化の過程をはっきりと感じられるはず。
色が変化した後も、雑貨屋さんやカフェで見かけるようなアンティークな雰囲気をお楽しみいただけますよ。
また、基本的に季節の草花をドライフラワーにしているので、経年変化のタイミングは、ちょうどそのお花たちの旬が終わるころかもしれません。
生花とは違う形で季節の移ろいも感じていただけるはず。
次の章では、色彩豊かなドライフラワーを届けるために私たちが日々気を配っている3つのこだわりをご紹介します。
色彩豊かなドライフラワーを届けるために
お花たちが元々持っている色の魅力をそのまま残して、あるいはうまく引き出してお届けできるように。
土と風の植物園のスタッフは、花の水分を上手く抜くことを心がけながら日々ドライフラワーをお作りしています。
そのためにまず大切なのが、“生花を乾燥させ始めるタイミング”です。
1.乾燥させ始めるタイミングを見極める
生花をドライフラワーにする時に花の開き具合が足りないと、花びらの水分が抜けにくく、色が悪くなりやすいです。
また、花盛りを過ぎてしまうと花自体の元気がなくなってしまうので、ドライフラワーも色が悪く元気がない印象に。
開花した直後、一番元気な状態の時に短時間で乾燥させると、生花の時の色合いが残りやすく、いきいきとした見た目のドライフラワーになります。
だから、まだ蕾のものは水につけて開花を待ちます。
花びらの水分量は適正の範囲内か、この状態で乾燥させたら色が悪くならないか、目で見て手で触れて、毎日確認。
それぞれの花がドライフラワーにするのに最適な状態かどうかを見極めてから、ドライフラワーの制作に入るようにしています。
売れ残って鮮度が落ちてしまった生花をドライフラワーにして販売しているお店もあるそうですが、土と風の植物園では状態が良くない花はドライフラワーにしないようにしています。
お客さまに「きれいな色だな」「いきいきして見える」と感じていただくことが何よりも大切だから。
2.人の手で、とことんお花に優しく
美しい色合いのドライフラワーを作るためには、なるべく短期間で乾燥させることがとても大切。
でも、お花に負担をかけないように、土と風の植物園ではふたつの点に注意しています。
ひとつは、アトリエの空気。
土と風の植物園のアトリエには乾燥室がありません。
格好良い言い方をすれば、アトリエ自体が自然の風と空調を組み合わせた大きな乾燥室になっています。
日によってアトリエ内の気温も湿度も変わりますし、乾燥させているお花の種類や状態も違います。
暖かい空気の方が比較的早く乾燥できるのですが、夏場は「あまり暑いとお花の元気がなくなってしまうかな」と考えて、ちょっと涼しめの風にしてみたり。
日々変わる環境を踏まえて空調を調節しながら、お花に強い風が直接当たらないように気を付けながら、なるべく早く乾燥させるようにしています。
もうひとつはドライフラワーの大敵、虫。
お花も自然のものだから、仕入れた生花に虫がついていることも。
虫にとって葉や花びらは素敵なご馳走なので、気付かないままでいると虫食いだらけのドライフラワーになってしまいます。
そのため、ドライフラワーにする前に虫がいないかひとつひとつチェックしています。
届いた時に自然の草花の香りを感じてほしいから、防腐剤も使っていません。
ブルーのシルバーデージーやカナリーグラスなど、染めてある種類も仕入れてお届けすることがありますが、ほぼ全てのドライフラワーを自分たちの手で丁寧に作ってお届けしています。
3.お花パトロールで“写真通り”を叶える
商品ページの写真を見た時のワクワクが、そのまま手元に届くように。
そんな願いを込めて私たちスタッフが毎日行っているのが、お花の状態を点検する“お花パトロール”です。
アトリエには、仕入れ先から届いたばかりの生花、乾燥させ始めたばかりの生花、水分がきちんと抜けてドライになったもの……さまざまな状態のお花が置いてあります。
どの状態のものも色合いが変わる可能性があるから、お花パトロールでは全てのお花を点検します。
お花の色が大きく変化していないか、花や葉がいきいきと、お客さまに満足していただけるものになっているか。
状態が悪いと判断したものは販売しないように。
これだけ気を付けていても、お客さまにご購入いただいてから発送するまでのわずかな期間に、色味が大きく変わることがたまにあります。
色の変化が大きい場合は、発送前にどんな色味に変化したかをお客様にお伝えして、ご理解いただけた場合のみお送りするようにしています。
ここまでは、品質上の色のお話。
ドライフラワーは生き物だから、同じ品種のお花でも、どうしても色や形に個体差が生まれます。
でも、どれも私たちスタッフが丹精込めて作り上げた、わが子のような存在。
商品ページの写真のイメージと変わらない。
でも、色合いは唯一無二。
そんなドライフラワーたちを楽しんでいただけると嬉しいです。
おわりに
ドライフラワー作りは陶芸に似ている、と思う。
丹精込めて自分の手で育てた器が、何千度という熱に包まれた釜から出てくる瞬間。
形は、色合いはどんな風になったかな。
お客さんが喜んでくれるものになっているかな。
ワクワクと、そわそわが同居する感覚。
陶芸家の方はいつもこんな感覚を味わっているのかなって。
ドライフラワーたちの様子を見に行くたびに、そんな気分になるのです。
お花も人間と同じ生き物だから、同じ姿かたちのものはひとつとしてなくて。
色も形も、さまざま。
そんなドライフラワーとの出会いを皆さんにお届けするために、これからも日々歩んでいきたいと思っています。
ドライフラワー・スワッグ専門店|土と風の植物園
倉敷市の中心部から少し離れた緑豊かな小さなアトリエで制作。厳選したドライフラワーや道具、動画を見ながら作れるスワッグ手作りキットなど、各種取り揃えています。