クリスマスが近づいてくると、街中がきらきらとした装飾に彩られて、何だかわくわくしますよね。
ご自宅でクリスマスリースやツリーを飾る方も多いのではないでしょうか。
クリスマスリースは、色々な場所に飾りやすいサイズ感が魅力。
目線に近い高さに飾ることが多いので、自然と視界に入り、クリスマス気分を高めてくれます。
そんなクリスマスに欠かせないリースに、どんな意味が込められているかご存知ですか?
今回は、クリスマスリースの歴史から作り方まで、たっぷりとご紹介します。
お部屋を傷つけない飾り方も合わせて紹介するので、飾り方に悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
リースの歴史
リースの始まりは常緑樹の枝
リースの起源は、キリスト教誕生以前の古代ローマ時代まで遡ります。
リースとは、植物の花や葉などで作られた装飾用の輪のことで、常緑樹の枝を輪にしたものが、リースの始まりとされています。
古代ローマでは、ギリシア神話にも登場する月桂樹の冠がさまざまな場面で使われていました。
ギリシア神話に登場する河の神の娘ダフネは、ゼウスの息子、アポロンの求愛から逃れるため、自らの姿を月桂樹に変えました。
悲しんだアポロンは、月桂樹で作った冠を愛の証として永遠に身に付けました。
この神話から、「死すとも変わらず」という月桂樹の花言葉が生まれたそうです。
また、月桂樹は、「栄光」「勝利」「名誉」といった花言葉も持ち合わせています。
ギリシア神話に登場するアポロンは、勇気に溢れた人間や美の創造に秀でた人間に、月桂樹の葉を使った冠を与えるよう命じました。
古代ローマでは、戦いで勝利をおさめた英雄や詩人に月桂樹でできた冠を与え、栄光と知恵の象徴として用いたとされています。
オリンピックの聖火ランナーがオリーブの冠を被ったり、ノーベル賞を受賞した人のことを「Nobel Laureates (ノーベルのローレル※を冠された者)」と呼んだりするのは、こうした神話や風習が由来しているようです。
※月桂樹をフランス語読みするとローレル、英語読みするとローリエと言います。
月桂樹の冠は他にも、花嫁の装飾品に使われたり、亡くなった方を送る花として石棺に取り付けられたりと、様々な形で歴史に登場しています。
その後、常緑樹のリースを飾る風習が各地に広まりました。
豊穣や繁栄を願うために、冬至や新年などのお祝い事で使われたそうです。
今でこそお部屋のインテリアアイテムの一つになっていますが、昔はハレの日、ケの日に使われる非日常のアイテムだったんですね。
クリスマスにリースを飾る理由
今からおよそ1700年前の313年、ローマ帝国のコンスタンティヌス帝がキリスト教を公認しました。
そして392年には、テオドシウス帝によって、キリスト教はローマ帝国の国教と定められました。
ローマ帝国がキリスト教を国教と定めたことがきっかけで、以前からローマに存在していたリースを飾る文化と、キリスト教の文化が混ざり、クリスマスにリースが飾られるようになったといわれています。
次は、人々がクリスマスリースにどんな思いを込めて飾っていたのかについてお話します。
クリスマスリースに込められた意味
クリスマスリースが持つ意味は大きく分けて4つあります。
魔除け
クリスマスリースの装飾でよく使われるモミやヒイラギなどの常緑樹は、古くから強い生命力の象徴とされてきたこともあり、魔除けの意味があります。
特にヒイラギの葉は生命力の源とされ、魔物などの悪いものから身を守ってくれると信じられてきました。
葉自体に殺菌作用や抗菌作用があるため、「災いから家族を守るもの」といった意味が生まれたそうです。
玄関のドアに飾ることが多いのも、出かけた家族が無事に帰ってくるようにという願いが込めるためだそう。
素敵な考え方ですよね。
豊作祈願
クリスマスリースの装飾に使われている松ぼっくりやリンゴ、ブドウの蔓、麦の穂などは「収穫」の意味を表しています。
本年の収穫への感謝を表すとともに、翌年の豊作を祈願するという意味が込められています。
新年の幸福
日本では、クリスマスが終わると装飾を片付けて、お正月飾りに変えるのが一般的ですが、 キリスト教圏では、年明けまでクリスマスリースやツリーを飾る家庭が多いそう。
キリスト教では、クリスマスイブまでのおよそ4週間は、キリストの降誕を待ち望む「アドベント(待降節)」という期間にあたります。
そして、クリスマスの12月25日から主の洗礼の祝日(※年によって異なる)までのおよそ2週間は、キリストの誕生を祝う「降誕節」という期間にあたります。
このアドベントと降誕節の期間にクリスマスリースを飾る家庭が多いようです。
クリスマス飾りは、日本のお正月飾りのように新年の幸せを願う役割も持っているんですね。
年末年始に海外旅行に行く方は、街中や玄関のドアにリースが飾られているかチェックしてみてはいかがでしょうか。
永遠の愛
丸い輪の形をしたリース。
「始まりも終わりもない」ことから、「永遠」の象徴とされています。
ここにキリスト教の教えが合わさり、古くから「永遠の神の愛」を表すものとして考えられています。
飾りが持つそれぞれの意味
クリスマスリースに使われる代表的な飾りやモチーフの多くは、クリスマスカラーの赤・緑・白が使われています。
赤はキリストの血を表していて、「寛大な愛」の象徴。
緑は「生命力」や「永遠の命」を意味します。
白は、罪や汚れがなく「純潔」「潔白」などの象徴です。
この3色以外にも、ゴールドやシルバーも合わせてクリスマスカラーと呼ばれることがあります。
イエス・キリストの降誕を知らせた「ベツレヘムの星」やキリストの高貴さを表していて、「光」や「王権」を意味するそう。
ここからは、それぞれの飾りやモチーフが持つ意味を見ていきましょう。
モミや月桂樹などの常緑樹
クリスマスリースによく使われる、モミやスギ、月桂樹などの常緑樹。
年間を通じて葉を一斉に落とす時期がないため、「エバーグリーン」とも呼ばれます。
その生命力や力強さから、永遠の象徴とされています。
また、先の尖った葉の形や、抗菌作用を持つことから、魔除けの意味も持つそうです。
モミやサツマ杉などのエバーグリーンをたっぷりと使ったクリスマスリースは、とっても上品。
同じグリーンでも質感や色味の異なるものを組み合わせることで豊かな表情が生まれます。
ホワイトやブラウンを足すことで、グリーンの美しさが引き立ちます。
>>><森のささやき>エバーグリーンのフレッシュクリスマスリースを見る
こちらは、サツマ杉と野ばらの実のみでお作りした、シンプルなリース。
あでやかな緑と赤が美しい、クリスマスらしい配色です。
全体に散りばめた野ばらの実は、上品なんだけど、とっても楽しげ。
小ぢんまりとした可愛らしいサイズ感なので、玄関だけでなく、お部屋のあちこちに飾りやすいです。
>>><冬の音楽会>サツマ杉・野ばらの実のフレッシュクリスマスリースを見る
ヒイラギ
トゲトゲの葉が印象的なヒイラギ。
ヒイラギの葉は、イエス・キリストが十字架に磔にされた時にかぶっていた冠を連想させることから、「キリストの受難」を表しているといわれています。
そして、赤いヒイラギの実は、キリストの流した血を表しているといわれています。
キリストが人々の罪をかぶって流した血のことなので、「神の愛」「寛大さ」といった意味も込められているそうです。
ヒイラギもモミやスギと同じく常緑樹なので、魔除けの意味も持ち合わせています。
リボン・ベル
リボンやベルには魔除けの意味が込められているといわれています。
キリスト教では、ベルの音は喜びの象徴でもあります。
イエス・キリストの誕生を知らせたのも、ベルであったとされています。
シナモンスティック
スパイシーな香りのシナモンには、魔除けの力があるといわれています。
昔からヨーロッパでは、柑橘類やシナモンを使った「ポマンダー」と呼ばれる飾りを作り、魔除けやお守りとする習慣もあったそう。
シナモンをあしらったクリスマスリースは、心地よい香りを楽しめるのも嬉しいところ。
「素敵な香りで客人を歓迎する」という意味を込めて、クリスマスリースに使われることもあるそうです。
りんご
りんごや丸い形のオーナメントボールは、アダムとイブが口にしてしまった「禁断の果実」の象徴なんだとか。 りんごは寒い季節に保存が効くこともあり、昔から飾りとしても重宝されていたようです。
松ぼっくり(松かさ)
松ぼっくりやりんごなどの実や作物は、収穫や神へのお供えの象徴とされていて、来年の豊作を願うという意味が込められています。
元々クリスマスの飾り付けに使われていたのは、松ぼっくりではなく、もみの実でした。
イエス・キリストの母マリアと父ヨセフが、イエスを守るために逃げていた時、もみの木に身を隠して難を逃れ、無事イエスが誕生したという言い伝えが残っています。
このことから、もみの実がリースなどの飾り付けに使われるようになりましたが、もみの実はヤニが多くクリスマスの時期には熟してバラバラになってしまうため、代用品として形のよく似た松ぼっくりが使われるようになったそうです。
手作りしたい人のためにリースの作り方を紹介
クリスマスリースを自分で手作りしたいという方もいらっしゃると思います。
色々な作り方がありますが、今回はツイストリースをベースに、お花をワイヤーで巻き付けて取り付ける方法を紹介します。
モミやサツマ杉、コニファーなどの常緑樹にホワイトのドライフラワーを合わせたリースは、クリスマスにぴったりです。
この作り方を参考に、好きな花材を自分で選んでオリジナルのクリスマスリースを作ってみてはいかがでしょうか。
土と風の植物園 では、クリスマス向けの花材や、リース作りに役立つ道具もご用意しています。
どこに飾る?リースの飾り方アイデア
「リースを飾りたいけど、どこに飾ればいいか分からない」
「賃貸住宅なので、壁に穴を開けられない」
そんなお悩みを抱える人のために、お部屋を傷つけない飾り方をいくつかご紹介します。
ご自身のお部屋に合った飾り方で、クリスマスの装飾を楽しんでください。
玄関やドアに飾る
お家の顔である、玄関。
玄関にリースを飾れば、帰宅するたびに嬉しい気持ちになれますし、自信を持ってお客さんを出迎えられます。
玄関やドアにリースを飾る時は、リースフックを使うのがおすすめ。
ドアの厚みを利用して引っ掛けるだけでリースを吊ることができるので、傷もつきません。
色やデザインがシンプルなフックを選ぶと、アレンジメントが引き立ちます。
アレンジメントを飾らない時期は、帽子など軽い物を置く場所として活用していただくこともできますよ。
壁に飾る
リビングなどの壁に飾れば、いつでも目に入るので、見るたびに嬉しい気持ちに。
インテリアに合わせてリースの色味やデザインを選ぶのも楽しいですよね。
貼って剥がせるタイプの粘着フックを使えば、ドアや壁を傷つけることなく、場所の移動も簡単にできます。
耐荷重量の関係で落ちてしまうこともあるため、心配な場合は強力なものを選ぶか、2個使用するなどして工夫してみてください。
置いて飾る
フックを使うのが難しい場合は、窓辺や棚などの家具の上に立て掛けるようにして飾るのがおすすめです。
リースをケーキに見立てて、ケーキスタンドやお皿の上などに寝かせるように飾るのも、お店のディスプレイのような雰囲気が出て、とっても素敵ですよ。
リース以外のクリスマスアイテムも
ガラス標本のクリスマスツリー
ガラスボトルに入っているのは、野ばらの実などクリスマスカラーのドライボタニカル。
ガラスボトルで出来た小さなクリスマスツリーなら、お部屋のちょっとしたスペースに飾っていただけます。
コロンとしたシルエットも可愛いんです。
お手入れだって、ガラスをさっと布で撫でるだけでいいから、とっても楽ちん。
お部屋をさりげなくクリスマス色に染めてくれるツリーは、ちょっとした贈り物にもおすすめです。
>>>ガラス標本のクリスマスツリーを見る
もみの木みたいなシルエットのガラスでお作りした標本ツリーもご用意しています。
こちらは、どちらかというと、ユニークで個性的な雰囲気。
底のコルクは、ブラックでシックに。
空間をきりっと引き締めてくれます。
大きさと中身が異なる2種類から選べます。
>>>テーブルに飾る、ガラスのクリスマスツリーを見る
クリスマスカラーのスワッグ
クリスマスの朝。
サンタさんからのプレゼントに胸を躍らせる一方、特別な夜が終わってしまったという、ひとさじの寂しさ。
そんな、子どもの頃の記憶が蘇る。
このスワッグを見るたびに、どこか懐かしく、心温まる気持ちになれるようにと、心を込めてお作りしました。
クリスマス定番の花材ばかりですが、遊び心のある色や形のものを選んだり、無骨な枝を取り入れたりして、個性も感じられるように。
派手すぎない色合いなので、どんなインテリアにも馴染みやすいです。
>>><クリスマスの朝>モミと赤い実のフレッシュクリスマススワッグを見る
こちらは、ユニークなリボン型のスワッグ。
冬の森の豊かさや、家族のぬくもりを感じてほしくてお作りしました。
ワインカラーのケイトウや、白いお砂糖をまぶしたようなユーカリテトラゴナなど、形や色味がちょっぴり個性的なドライボタニカルを中心に選びました。
いつもと違う雰囲気を味わいたい方にぴったりです。
>>><The Holiday>サツマ杉・コニファー・ケイトウのクリスマススワッグを見る
モミのタペストリー
押しピンひとつで手軽に飾れる、モミのタペストリー。
オーナメントを吊るせば、本物のツリーのような存在感が生まれます。
てっぺんに星のシールを貼ったり、子どもが描いたオーナメントの絵を下げたりと、アイデア次第でいろいろな楽しみ方ができますよ。
フレッシュなモミを使っているから、クリスマスの訪れを待ちながら、モミがドライへと変わっていく様子も楽しめます。
>>>モミのタペストリーを見る
手軽に飾れるオーナメント
麦わら(ストロー)でできた、クリスマスモチーフのオーナメントです。
クリスマスツリーに吊るしたり、お部屋の飾り付けに使ったり、ラッピングに添えたりと、さまざまな楽しみ方ができます。
写真のように、モミの枝に吊るして壁に立てかければ、小さなクリスマスツリーが完成します。
天使モチーフが入っているもの、リースモチーフが入っているもの、2つのタイプをご用意しています。
>>>ぬくもりたっぷりの、クリスマスオーナメントを見る
こちらは、リーフモチーフのオーナメント。
グリッターガラス製で大きめサイズなので、存在感抜群です。
ゴールドのきらめきが、クリスマスらしいお部屋を演出します。
ツリーに吊るす以外にも、置いて飾ったり、グラスに入れたり。
他の雑貨と一緒にお部屋のディスプレイに使うのもおすすめです。
>>>ガラスのリーフオーナメントを見る
おわりに
古代ローマ時代に誕生したリース。
時代を超え、多くの人の願いや祈りが込められてきました。
そしてクリスマスの装飾や普段のインテリアとして、現在も人々に愛されています。
土と風の植物園ではクリスマスのリースの他、スワッグやアレンジに使っていただける花材をご用意しています。
ぜひ、このご機会にドライボタニカルのアレンジメントをお部屋や玄関に飾り、楽しいクリスマスを迎えてください。