1980年代に松田聖子さんが歌った「赤いスイートピー」は、多くの人びとの心に残る大ヒット曲となりました。
その後、日本で大変人気を博したお花の赤いスイートピーですが、30数年前まで実在しなかったことをご存じですか?
赤いスイートピーは、多くの花々のなかでもお祝いのシーンにぴったりの華やかな花です。
魅力は、フリル状の繊細な花びらと、目を引くような鮮やかな赤色にあります。
この記事では、赤いスイートピーの由来や品種、花言葉、特徴についてご紹介します。
赤いスイートピーはどんな花?
スイートピーはつる性の一年草または宿草で、春から初夏にかけて魅力的な花を咲かせます。
支柱やトレリスに沿って美しく成長し、庭園やバルコニーでの栽培に適しており、空間を華やかに彩ります。
またフラワーアレンジメントやブーケにも向いているため、切り花としての需要も高いです。
品種改良を経て、青や虹色の鮮やかなスイートピーが生み出されています。
特別なイベントの飾りつけやプレゼントにも人気です。
赤いスイートピーは実在しなかった?

赤いスイートピーは、現在は実在する花です。
かつては伝説や歌の中だけで語られていましたが、現在では多くの人びとに親しまれています。
その変遷には、一人の農家さんの長年にわたる努力があります。
三重県の農家さんが「赤いスイートピー」のイメージに魅了され、実現に向けて品種改良に取り組みました。
18年間という長い時間を経て、赤いスイートピーは実在する花になりました。
松田聖子さんのヒット曲と赤いスイートピー

1980年代に大ヒットした松田聖子さんの「赤いスイートピー」。
ただのポップソングではなく、一つの社会現象となり、赤いスイートピーという花を日本中に知らしめるきっかけになりました。
でも、この曲がリリースされた時点では、赤いスイートピーは実在しませんでした。
作詞家の松本さん自身も、赤いスイートピーが存在しないことを知らなかったそうです。
しかし、曲が大成功を収めたことをきっかけに、スイートピーの品種改良が進められました。
長年の努力を経て、2002年に「赤いスイートピー」が誕生したのです。
赤いスイートピーの品種
赤いスイートピーの主な品種をご紹介します。
ムジカクリムゾン
ラテン語で「音楽」を意味する「ムジカ」と、「真紅」を意味する「クリムゾン」から名付けられた品種です。
昔は赤っぽい淡い色しかなかったスイートピーから研究を重ねて誕生しました。
松田聖子さんの人気曲「赤いスイートピー」にちなんで名づけられた可能性があると言われています。
三重県の農家さんが長年の努力を経て、「赤いスイートピー」の品種を改良しました。
理想のイメージに近づけるため、18年の歳月をかけたそうです。
スカーレット
美しい赤色の花と甘い香りが特徴で、生育力が旺盛で大輪の花が咲くため、春の花束やアレンジメントに最適です。
宮崎県総合農業試験場のオリジナル品種で2012年に改良されました。
スイートピーにまつわる豆知識
ここからはスイートピーにまつわる豆知識を紹介します。
スイートピーの名前の由来とは?

スイートピーの名前は、英語の「sweet pea」をカタカナ表記した言葉です。
「sweet」は「甘い」、「pea」は「豆」という意味を持ちます。
甘くて良い香りがするので、スイートピーという名前がついたのでしょう。
名前に「豆」が入っているスイートピーですが、豆の部分には毒があるので食べることはできません。
スイートピーの花言葉

スイートピー全般の花言葉はいくつかありますが、代表的なものは「門出」と「別離」です。
「門出」「別離」という花言葉は、スイートピーの花が空に舞い上がる蝶に似ていることに由来します。
これらの花言葉から、異動や転職、卒業などの「門出」を祝福する花としてよく贈られます。
スイートピーの色ごとの花言葉もみていきましょう。
赤いスイートピーの花言葉

比較的最近開発された赤いスイートピーには、固有の花言葉がありません。
したがって、一般的なスイートピーと同様に「門出」「優しい思い出」「永遠の喜び」が赤いスイートピーの花言葉となります。
ピンクのスイートピーの花言葉

ピンクのスイートピーの花言葉は、「繊細」「優美」「恋の楽しみ」です。
ピンクは女性的なイメージで、恋愛感情を表す色でもあるため、ぴったりな花言葉です。
白いスイートピーの花言葉

白いスイートピーの花言葉は「ほのかな喜び」です。
純真さを象徴する白が、「ほのかな」という控えめで謙虚な感情を表しています。
白いスイートピーは、結婚式のブーケにも人気があります。
黄色のスイートピーの花言葉

黄色のスイートピーの花言葉は「分別」「判断力」です。
明るくて目立つ黄色は、信号機や禁止標識など人に注意喚起する時によく使われます。
この色の特徴から「分別」や「判断力」という花言葉がつけられたのでしょう。
紫のスイートピーの花言葉

紫のスイートピーの花言葉は「永遠の喜び」です。
白が「ほのかな喜び」を表すのに対し、紫は「永遠の喜び」を表します。
紫のスイートピーは上品で大人の雰囲気があり、年上の女性に贈るのに最適です。
青いスイートピーの花言葉

青いスイートピーに特別な花言葉はありませんでした。
赤いスイートピーと同じく、「門出」「優しい思い出」「永遠の喜び」など、スイートピーの一般的な花言葉を参考にしてください。
スイートピーの特徴

スイートピーの花は、もともとは淡い紫色だけだったとされています。
交雑や選抜などによってピンクや赤などさまざまな色になりました。
長い年月をかけてさまざまな染色体を持つことがわかりましたが、まだ解明されていないことも多い植物です。
また、美しさと香りを愛でるためにイギリス王室に献花されていた歴史があります。
スイートピーの生産にかかる時間はバラの3倍

スイートピーを栽培するのは、バラよりも手間がかかります。
つる性の植物なので巻きひげを除去したり、伸びすぎたつるを下げたりする必要があります。
1,000平方メートル分のスイートピーを栽培するには、およそ4,423時間の作業時間が必要です。
対して、バラは同じ面積であれば約1,608時間で済みます。
スイートピーがバラの3倍以上もの時間を要すると聞いて驚くでしょう。
スイートピーのドライフラワーの魅力は?
![[ドライフラワー]スイートピー](https://cdn.shopify.com/s/files/1/0440/0637/5579/files/1-min_982c7a1a-877c-44d3-8a27-05829bec9f1e_1.jpg?v=1713762545)
スイートピーをドライフラワーにすることで、蝶が舞うような可愛らしい花姿を長く楽しむことができます。
水替えも不要でお手入れも簡単です。
土と風の植物園で現在扱っているスイートピーは、すべて地元である倉敷市船穂町の染めスイートピー。
倉敷市船穂町は全国有数のスイートピーの産地で、20軒ほどの農家さんが育てていらっしゃいます。
もともと親交のあった農家さんに取材をさせていただいたことも。
船穂のスイートピーについて、もっと知りたい方は是非こちらの記事もご覧ください。
<読みもの>倉敷船穂でスイートピーを育てる、ファームたかおさんへ伺いました
<読みもの>倉敷船穂町・ファームたかおさんのフレッシュスイートピーと春のドライフラワーでスワッグ作り
おわりに

この記事では、赤いスイートピーが実在するに至った経緯や、スイートピーの魅力などを紹介しました。
赤いスイートピーは実在する花であり、大切な人へのプレゼントや自分へのご褒美にも最適です。
「心に春がきた日は 赤いスイートピー」
この歌詞を思い出しながら、お部屋に好きな色のスイートピーを飾ってみてはいかがでしょうか。

きっと、ちょっぴり切なく甘酸っぱい日々を思い出すけれど。
ひらひらと舞う蝶のような花びらを間近で眺めて、今ある幸せを大切にしたいと思わせてくれるはず。
土と風の植物園では、ドライボタニカルのブーケやスワッグ、オリジナルキャンドルなどをご用意しています。
お店もぜひ覗いてみてくださいね。