丸くて赤い実が可愛いサンキライ。
中国で縁起が良いとされるサンキライは、日本でも結婚式や新年などのおめでたいシーンでよく使われます。
ヨーロッパではクリスマスリースに使うこともある人気の植物で、ドライフラワーにするのもおすすめ。
サンキライのドライフラワーは、実の赤色の変化も含め長く楽しめるのが魅力のひとつです。
この記事では、サンキライの基礎知識からドライフラワーの作り方、おすすめのアレンジまで詳しく解説します。
そもそもサンキライってどんな植物?
サンキライはつる性の多年草で、日本やアジアの野山に自生しています。
新芽は食用、根は生薬として利用されるなど、観賞用だけでなく、生活におけるさまざまなシーンで利用されている植物です。
サンキライの基本的な情報を以下にまとめました。
和名 | 山帰来(サンキライ) 猿捕茨(サルトリイバラ) |
---|---|
学名 | Smilax china |
科名 | サルトリイバラ科 |
分類 | 落葉低木 |
原産地 | 中国 朝鮮半島 日本 |
花期 | 4~5月 |
赤い実を付ける時期 | 10~11月 |
「サンキライ」と「サルトリイバラ」の違い
「サンキライ」というのは実は俗称で、正式名称は「サルトリイバラ」です。
トゲトゲした枝に猿が絡まると身動きがとれなくなることから「猿獲りイバラ」と名づけられました。
それではなぜ、サルトリイバラは「サンキライ」と呼ばれているのでしょうか。
元々「サンキライ」と呼ばれていた植物は、生薬として中国から輸入していたドブクリョウ(土茯苓)です。
国内のサルトリイバラをドブクリョウの代用として使う間に両者を混同し、どちらもサンキライと呼ぶようになりました。
中国のドブクリョウと日本のサルトリイバラはよく似ていますが、枝のトゲの有無で見分けられます。
ドブクリョウは枝にトゲがあり、サルトリイバラにはトゲがありません。
国内ではドブクリョウとサルトリイバラのどちらも流通していますが、花屋さんなどは区別せず総称して「サンキライ」と呼びますので覚えておきましょう。
一般的に中国産のドブクリョウは安価で入手しやすく、国産のサルトリイバラは高価なものの実が赤く大きい特徴があります。
中国産か国産かは、アレンジの仕上がりイメージに合う方を選ぶのがおすすめです。
日本での花言葉「不屈の精神」
サンキライの日本での花言葉は「不屈の精神」です。
つるを伸ばして周囲に生い茂っていくサンキライの繁殖力の高さから、前向きで力強い花言葉が付けられたのでしょう。
中国での花言葉「元気になる」
サンキライの中国での花言葉は「元気になる」です。
サンキライは漢字で「山帰来」と書きます。
一説によると「病気の人が山に入り、サンキライの実を食べて治って帰ってきた」エピソードが由来だそうです。
サンキライの根は毒消しや生薬としても使われることから「元気になる」という縁起の良い花言葉が使われるのでしょう。
サンキライのドライフラワーの作り方
サンキライはドライフラワーとしての人気も高い植物です。
ドライフラワーにしても特徴的な赤い実が落ちにくいのは嬉しいポイント。
ドライフラワーを作る代表的な手法は、以下の4つです。
ハンギング法 | 花を吊るして乾かすだけのシンプルな手法。 初心者にもおすすめ。 |
---|---|
ドライインウォーター法 | 花瓶で少量の水につけながら乾かしていく手法。 バラなど茎の太い花におすすめ。 |
グリセリン法 | グリセリン溶液に漬け込む、または、花瓶で溶液を吸わせる手法。 生花とほぼ変わらない状態でドライできる。 |
シリカゲル法 | シリカゲル乾燥剤と一緒に密封して乾かしていく手法。 短期間で仕上がり、色も残りやすい。 |
上記の中で、サンキライにおすすめなのはハンギング法です。
ハンギング法とは
ハンギング法とは、ドライフラワーにしたい植物を吊るしてドライする方法。
スワッグやリースにアレンジしたい場合におすすめの手法です。
サンキライは乾燥すると硬くなり形を変えられないため、リースにする場合は先に丸く整えておきましょう。
ハンギング法に必要な道具
- サンキライ
- 花切バサミ
- 軍手(トゲがある場合)
ハンギング法の手順
1. トゲがあるタイプの場合は、最初にハサミで切っておく。怪我をしないよう、必ず軍手を使用する。
2. サンキライを必要な長さに切り、1本ずつハンガーなどに固定して吊るす。 (リースを作りたい場合はリース状に固定)
3. 風通しが良く直射日光が当たらない場所に、1週間前後放置する。 細い茎がポキッと折れる程度まで乾燥すれば完成。
サンキライのドライフラワーを使ったおすすめアレンジ
見る人の心を惹きつける、深い赤。
サンキライのドライフラワーは、アレンジメントの差し色にぴったりです。
ここでは、おすすめのアレンジメントをご紹介します。
リース
サンキライのドライフラワーを使ったアレンジで、特に高い人気を誇るのがリースです。
作り方は簡単で、長めのサンキライの枝をリース状に丸めて輪っかを作るだけ。
小さめのものから大きいものまで、自分で作ればお好みのサイズに調節できます。
サンキライでのリース作りは、ドライフラワーにする前の枝が柔らかい状態で丸めておくのがポイントです。
ボリュームが物足りない場合は枝を絡めながら輪を何周か丸めて調整しましょう。
サンキライの長さが足りず枝をリース状にするのが難しければ、100円均一などでも購入できる木製のリース台を利用するのがおすすめです。
短く切り取ったサンキライをリースの台に挿し込むだけで、手軽に可愛いリースが作れます。
こちらのリースは、冬に人気のサンキライと実を楽しむバラ、センセーショナルファンタジーにツルウメモドキを合わせました。
暖色のグラデーションが美しく、小ぶりでもぱっと目を惹くリースです。
スワッグ
サンキライのドライフラワーは、スワッグとして束ねて吊るすだけでナチュラルで素敵な雰囲気になります。
ちなみにスワッグとは、ドイツ語で「壁飾り」を意味する言葉。
サンキライのみのスワッグもシンプルで魅力的ですが、スギやヒバなど緑の植物と一緒に束ねて作るスワッグも華やかでおすすめです。
モミやサツマ杉などのグリーンと束ねて、クリスマス風に。
シンプルにまとめることで、サンキライの赤が引き立ちます。
クリスマスのギフトとしてもおすすめです。
クリスマス飾り
冬らしい赤い実を付けるサンキライは、クリスマス飾りにもぴったり。
定番のクリスマスリースやスワッグ飾りはもちろん、花器に挿しておくだけでも様になります。
小枝や切り取った実をフラワーベースのサイドに添えることでまた違った印象に。
是非おためしください。
ゴールドのリボンや鈴など、クリスマスらしいアイテムを追加するのも良いでしょう。
ガラスボトルをクリスマスツリーに見立てたお品は、モミとコットンフラワーを交互に入れ、雪が降り積もった冬の森をイメージして作りました。
赤いサンキライは素敵なオーナメントみたいで、クリスマス気分が高まります。
お正月飾り
中国で縁起が良いとされるサンキライは、お正月飾りにも良く使われる人気の植物です。
近年は、伝統的なしめ縄にサンキライのドライフラワーを組み合わせたお正月飾りや、サンキライと松の葉や紅白の水引を組み合わせたスワッグ飾りなども人気があります。
オシャレなアレンジのお正月飾りは、玄関先はもちろんお部屋に飾っても素敵です。
キャンドル
火を灯さなくても、心がぽっと明るくなる。
サンキライの実と枝を粉砕し、カットした茎と一緒に、蝋に混ぜ込んだボタニカルキャンドルです。
ざらりとした側面の質感と、つるりとした実の質感の対比が面白い。
可愛らしく前向きな姿から、きっと元気をもらえるはず。
サンキライと合わせやすいドライフラワー
サンキライの小さく赤い実はドライフラワーにしても存在感があるので、落ち着いた色合いのドライフラワーとの組み合わせがおすすめです。
サンキライとの組み合わせに特におすすめなドライフラワーを紹介します。
サンキライ×ユーカリ
ドライフラワーにしたユーカリのグリーンと、サンキライの赤い実は相性抜群。
ユーカリで作ったリースとサンキライのアレンジは、クリスマスリースの定番とも言える組み合わせです。
ユーカリのドライフラワーは香りがあるのも大きなポイント。
サンキライには香りがないため、ユーカリと組み合わせることでフレッシュな香りを楽しむことができます。
サンキライ×松笠(松ぼっくり)
サンキライと同様に花以外の部分を活かす松笠(松ぼっくり)は、相性も抜群です。
お皿やガラス食器などにサンキライと松笠を一緒に置くだけで、冬らしさが漂うインテリアになります。
サンキライのリースに、グルーガンなどで松笠を取り付けるアレンジもおすすめです。
サンキライのドライフラワーを長持ちさせるには?
サンキライのドライフラワーを少しでも長く楽しむために、正しいお手入れ方法も確認しておきましょう。
サンキライのドライフラワーの保存期間
一般的なドライフラワーの保存期間は2〜3カ月、長くて半年程度といわれており、サンキライも同程度です。
これは色味や風合いが保たれる期間で、ドライフラワーは良くも悪くも時間経過で変化し続けます。
サンキライも乾燥が進むと赤い実が黒くなるなど見た目が変化していきますが、その変化を楽しめる間は飾っていても大丈夫です。
なので、ドライボタニカルの寿命に関して、土と風の植物園としては、 飾るご自身が「美しくない」と感じたとき、気持ち新たにお部屋を彩りたいときが 入れ替えにおすすめのタイミングとご案内をしています。
サンキライのドライフラワーのお手入れ方法
直射日光と高温多湿を避ける
ドライフラワーを長持ちさせるには、直射日光と高温多湿の環境を避けましょう。
日光がよく当たる場所に飾ると、色褪せが起こりドライフラワーの劣化が早まります。
また、高温多湿の環境は、ドライフラワーの大敵であるカビが発生する原因に。
サンキライのドライフラワーも、日光が当たりにくく湿度の低い場所で管理するのがおすすめです。
定期的にホコリを取り除く
室内に飾るドライフラワーには、どうしてもホコリが付着してしまうもの。
ホコリをそのままにしてしまうと、カビや腐食の原因になります。
特に小さな実をたくさんつけるサンキライは、ホコリを溜めてしまうと取り除くのも大変です。
ドライフラワーは繊細なため、乱暴にホコリを取り除こうとすると、ボロボロと崩れ落ちてしまいます。
やわらかいブラシで払ったり、静電気の力を利用するホコリ取りを使ったりして、定期的にホコリを取り除きましょう。
おわりに
サンキライの基礎知識からドライフラワーの作り方、おすすめのアレンジまで解説しました。
クリスマスやお正月にもぴったりな縁起の良い植物であるサンキライは、自宅用・プレゼント用のどちらにもおすすめです。
この記事を参考に、サンキライのアレンジを楽しんでみてくださいね。