玄関に飾るお正月飾りはいつからいつまで?正しいルールを解説

玄関に飾るお正月飾りはいつからいつまで?正しいルールを解説

日本では12月になると、新年に向けた準備として門松やしめ縄などのお正月飾りを玄関に飾る家も多くなります。
お正月飾りは、年神様をお迎えするための目印になる大切なもの。

「お正月飾りを飾るのは何日から?」
「片付けるのはいつ?」
「毎年新しいものを用意しないといけないの?」

正しいルールを知らない方も多いのではないでしょうか。
この記事では、玄関のお正月飾りの基礎知識や飾る期間、喪中のルールまで詳しく解説します。

なぜ玄関にお正月飾りを飾るの?

玄関に飾られた正月飾り

日本の伝統であるお正月飾りは、家内安全などの願いを込め、年神様に家を訪ねてもらうために飾るもの。
そもそもお正月は『年神様を家にお迎えする行事』であることをご存知でしょうか。

お正月様とも呼ばれる年神様は、元旦にやってきて厄を払い家に福をもたらすと言われる、五穀豊穣を司る神様です。
玄関のお正月飾りは、年神様に「お迎えする準備ができています」と伝えるための目印であり、神様が家に滞在する間の依り代であると考えられています。

玄関のお正月飾りはいつから飾る?

玄関に飾られた正月飾り

玄関のお正月飾りはクリスマスの後、12月の26〜28日に飾り始めるのが一般的です。
末広がりの「八」を含むことから、12月28日に飾ると特に縁起が良いとされています。

ただ、お正月の準備にとりかかる12月13日の「お正月事始め」以降であれば、いつ飾っても問題はありません。

 

避けた方が良い日

玄関に飾った正月飾り

お正月飾りを飾りはじめる日として避けた方が良いのは、12月29日と31日です。
29日は「二重苦」を連想させることから縁起が悪い日とされています。

31日に飾るお正月飾りは「一夜飾り(いちやかざり)」と呼ばれ、年神様に誠意が欠ける行為とされるため避けるべきです。
大安や仏滅といった六曜は中国由来の考え方なので、日本のお正月飾りを飾る際は気にする必要はありません。

もし気になる場合は大安の日を狙って、仏滅を避けて飾りましょう。

玄関のお正月飾りはいつまで飾る?

玄関のお正月飾りを飾っておくのは、お正月事始めから年神様がお帰りになるまでの「松の内」と呼ばれる期間です。
松の内の終わりは、関東や九州では1月7日、関西では1月15日と、地域によってズレがあります。

 

お正月飾りを片付ける日には地域差がある

正月飾りを片付ける様子

松の内が終わる日、つまりお正月飾りを片付ける日は地域によってさまざまです。
都道府県別の一般的な日付を以下にまとめました。

ただし同じ都道府県内でも、地域によって松の内の期間は異なります。
正しい日付は近くの神社のお知らせなどを確認するのがおすすめです。

片付ける日 都道府県名
1/7 北海道・岩手県・宮城県・秋田県・福島県・茨城県・栃木県・埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県・新潟県・山梨県・長野県・静岡県・愛知県・鳥取県・島根県・岡山県・広島県・福岡県・佐賀県・長崎県・熊本県・大分県・宮崎県・鹿児島県
1/12~15 青森県・山形県・福井県
1/15 富山県・石川県・滋賀県・京都府・大阪府・兵庫県・奈良県・和歌山県・山口県・徳島県・香川県・愛媛県・高知県
1/20 群馬県・岐阜県
片付けない 三重県
旧正月(旧暦の1/1) 沖縄県

お正月飾りを片付けるのは1月7日が全国的で、次いで15日が多いようです。

特徴的な都道府県として、三重県と沖縄県が挙げられます。
三重県の伊勢地域では、しめ縄を一年中外さない風習があるそうです。

旧正月の文化が残っている沖縄県は、多くの家が旧正月明けまでお正月飾りを片付けません。

お正月飾りの種類

色々な種類のお正月飾り

一口にお正月飾りといっても、いくつかの種類があります。
代表的なお正月飾りは以下の通りです。

しめ縄 束ねた3本のワラを1本により合わせて作る。 玄関や門前、神社や鳥居など、飾られている場所が神聖であることを示す。 不浄なものを入れない結界のような役割がある。
しめ縄飾り しめ縄と、裏白(うらじろ)や紙垂(しで)・ゆずり葉などの縁起物のセット。 お正月に門前や玄関に飾られることが多い。 年神様を迎える準備が整っている家であることを示す。
鏡餅 大小2つの餅をひと重ねにしたもの。 餅の下に半紙・紙垂・裏白・ゆずり葉を敷き、上に橙(だいだい)を飾るのが一般的。 年神様が宿るとされ、上座である床の間や神棚に飾る。
熊手 落ち葉などをかき集める熊手に、さまざまな縁起物の装飾を施したもの。 神棚や高い位置に飾る。 小さいものから買い始め、毎年大きく買い替えていく習わしがある。 主に酉の市で買える熊手には『福や金運をかきこむ』意味があ、商売繁盛のご利益があるとされる。
破魔矢 正月や初節句などの際に、神社やお寺で授与してもらうもの。 魔を破り、1年幸せに暮らせるよう願いが込められている。 お札と一緒に神棚や床の間に飾るのが一般的。
羽子板 女子の初正月に贈る縁起物。 邪気を跳ね除け、美しく成長するよう願いが込められている。 ケースに入っているものが多く、床の間に飾る。

上記の中でも、特に一般的で飾りやすいしめ縄飾りについて、より詳しく解説します。

しめ縄とは

しめ縄

しめ縄(しめ縄飾り)は、神様を奉るのに相応しく神聖な場所であることを示す目印です。
神社でも、鳥居や拝殿などでしめ縄を見たことはないでしょうか。

玄関に飾るしめ縄は、家の中に不浄なものが入らないようにする結界のような役割を果たします。
お正月にしめ縄を飾ることで、年神様に安心して家に滞在してもらえるわけです。

 

しめ縄の由来

玄関に飾ったしめ縄

しめ縄の由来は諸説ありますが、古事記や日本書紀の神話「天岩戸(あまのいわと)」をルーツとする説が一般的です。

その昔、太陽を司る天照大神(アマテラスオオミカミ)が、弟の須佐之雄命(スサノオノミコト)の乱暴さを嘆き、天岩戸(あまのいわと)に隠れてしまいました。
天照大神が隠れると世界は闇に包まれて真っ暗に。
困った神々は集まって相談し、岩の外でわざと楽しくどんちゃん騒ぎすることにしました。

様子が気になって顔を出した天照大神が再び隠れないよう天岩戸にしめ縄を張ると、世界は明かりを取り戻したのです。
この話で天岩戸に張られたしめ縄こそが、お正月飾りに使われるしめ縄の由来と言われています。

 

しめ縄の種類

しめ縄は地域や用途によってさまざまな種類があります。

さまざまな種類のしめ縄

主なものは以下4種類です。

  • ごぼう注連(ごぼうじめ)・大根注連(だいこんじめ)
  • 前垂注連(まえだれじめ)
  • 玉飾り
  • 輪飾り

それぞれの特徴を詳しく説明します。

ごぼう注連・大根注連

ごぼう注連(ごぼうじめ)・大根注連(だいこんじめ)のしめ縄

ワラを束ねてねじって作るしめ縄です。
ごぼう注連(ごぼうじめ)は名前の通りごぼうのような見た目をしていて、一方が細くもう一方が太くなっています。

大根注連(だいこんじめ)は、ごぼう注連よりも太い特徴があります。
「左は神聖、右は俗世」とする神道の考え方から、太い部分を右側にするのが一般的な飾り方です。
神様(内側)から見て左側が神聖なため、太い部分は人間(外側)から見ると右側です。

少しややこしいですが、逆向きに飾らないように注意しましょう。
ただし、出雲大社や伊勢神宮のある地域では太い部分を左にする風習など、地域差があるようです。

ネコヤナギとナンキンハゼのお正月飾り

こちらのお正月飾りは、ごぼう注連のしめ縄を、リボンのようにくるりと結んで柔らかい雰囲気に仕立てたもの。
ネコヤナギやパンパスグラスのドライフラワーを合わせて、冬の冷たい空気感が伝わるように。

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前垂注連

前垂注連

前垂注連は、均一な太さで編まれた細い縄にワラの飾りと紙垂を垂らしたもの。
神社のさまざまな場所やご神木、家の神棚や軒下などによく飾られており、最も目にする機会が多いしめ縄です。

地鎮祭で祭壇を囲む時などにも使われ、神聖な場所との境界を示すためによく用いられます。

玉飾り

玉飾りのしめ縄

玉飾りは玄関先などに飾る定番のタイプで、太いしめ縄を輪にしてワラの束と縁起物を装飾して作ります。

縁起物は、前垂れや裏白、紙垂、ゆずり葉、橙、扇などを組み合わせるのが一般的です。

輪飾り

輪飾りのしめ縄

輪飾りは、玉飾りをよりシンプルにした小ぶりなしめ縄飾り。
玄関はもちろん、水回りや個人の部屋など室内の飾りつけにもおすすめです。

オシャレなデザインも多く、手作りやアレンジをして楽しむこともできます。

 

しめ縄の装飾品

しめ縄の装飾に用いる一般的な縁起物には、以下のような意味があります。

水引 良いことがあるように願う。
裏白 裏まで白い気持ちで新年を迎え、長寿を願う。
紙垂・御幣(ごへい) 神聖な場所の印。
ゆずり葉 新しい葉が出てから古い葉が落ちるゆずり葉になぞらえ、家系が代々続くことを願う。
木から落ちずに大きくなる橙のように、家が大きく繁栄することを願う。
末広がりの扇の形から、末長い家の繁栄を象徴する。
南天 南天(なんてん)の音から、『難を転じる』意味を持つ。

縁起の良い南天の実や葉をたっぷりとあしらったお正月飾りは、飾った場所が艶やかな雰囲気に包まれます。

南天とヒカゲノカズラのお正月飾り

南天の花言葉は、「福をなす」「良い家庭」など。
お正月飾りにぴったりですね。

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玄関のお正月飾りはどうやって処分する?

しめ縄などの玄関のお正月飾りの処分方法について解説します。
住んでいる地域やご自身の都合に合わせて選びましょう。

 

どんと焼き(お焚き上げ)してもらう

お焚き上げの様子

どんと焼きとは、役目を終えたお正月飾りや古いお札・お守りなどを神社やお寺で清めて燃やし、天に帰っていただく火祭りのことです。
どんと焼き・お焚き上げ・左義長(サギチョウ)とも呼びます。

1月15日の小正月に行うことが多いどんと焼きですが、いつ・どこで行われているかの詳細は、住んでいる地域に確認が必要です。

 

地域のごみ収集に出す

縁起物であるお正月飾りは、どんと焼きで処分するのが基本です。
しかし、地域でどんと焼きをしていなかったり、都合が合わなかったりする場合は、自分でごみ収集に出す必要があります。

自分で処分する場合は以下の手順を参考に、どんと焼きと同様しっかりお清めしましょう。

1. 白い布や新聞紙の上にお正月飾りを置く

2. お正月飾りの右・左・真ん中の順番に塩を振って清める

3. 白い布や新聞紙で包む

4. 他のゴミと混ぜず、新しいゴミ袋に入れる

ごみ収集に出して処分する際は、地域のルールに従って正しい分別を行なってください。

 

お正月飾りを毎年使い回してはいけない?

玄関に飾ったお正月飾り

お正月飾りの使い回しは、年神様に失礼にあたります。
もったいなく感じるかもしれませんが、松の内を過ぎて片付けたお正月飾りは適切に処分し、毎年新しいものを飾るようにしましょう。

マンションの玄関など屋内に飾っても大丈夫?

マンションの玄関に飾った正月飾り

しめ縄は家の外に飾るのが一般的ですが、屋内に飾っても問題ないとされています。
マンションやアパートの玄関前は共用部にあたるため、勝手に物を置くことを禁止するケースも多いです。

気になる人はマンションやアパートの規約を確認し、自分の家に合った方法で年神様を迎える準備をしましょう。

喪中は玄関のお正月飾りをどうする?

喪中は、お正月飾りなどを控えるのがマナーとされています。
死は穢れとされるため、年神様をお迎えする行為を避けなくてはいけません。

初詣やおせち料理、鏡餅も控え粛々と過ごすお正月が望ましいです。
お祝いではないお年玉は、渡しても問題ないとする考え方もあります。

万が一気になる場合、お祝い用ではないポチ袋に入れて渡すと良いでしょう。

おわりに

玄関のお正月飾りの基礎知識、飾る日や片付ける日などを詳しく解説しました。
お正月飾りは年神様をお迎えするために大切なものであることを忘れず、心を込めて準備することが肝心です。

この記事を参考に正しい知識を身に付けて準備し、気持ち良く新年をお迎えください。



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